午後からまた大勢子供たちが遊びに来た。女の子4人に
男の子ひとり。フルメンバーになるともうひとり男の子が
いるのだが、今日はその子は来なかった。男の子はずっと
ゲームをしている。女の子の方は男の子よりずっと
大人びて、爪を磨いたりテレビを見たりして盛り上がっている。
もはや、親が入るすきはナシ。で、あれこれ冷蔵庫を
ひっかきまわし、煮物を作って梅とおじさまのところへ
さっさと出かけた。
梅のところへ行く途中、おじさまがどこかのバクロウに
買ってくれと頼まれたというミニチュアホースに会いに行った。
音二郎がいた隣の厩に入れられていた。ほんとに小さい。
それに毛がふわふわしている。細く切ったニンジンを数本あげた。
性格も良さそうで近寄ってきて、全然人見知りをしない。
かわいいけど、いつどこへ行く馬かわからないから、自分の中で
壁を作っておく。後からおじさまに聞いたら、毛がふわふわなのは、
栄養が足りなくて冬毛がまだ抜けきってないそうだ。飼い葉おけには
緑のとっても良さそうなチモシーがたくさん入っていた。
馬のような知能の高い動物が人間にとって、もっと身近で
大切にされるようになる時代はいつか来るのかな、とぼんやり
考えた。
それから梅の方へ。もう、見事に、屋根の下以外はぬた場と
化している。でも春さんのおうちの庭もそうだったから
ものともせず?それは仕方ないとしても、おなかのまわりや
足元に黒い雲のようになってまとわりついている羽虫が
気の毒。ニンジンを食べていても、くしをかけていても、
ひっきりなしに振り向いて、顔をばちん、と当てている。


それでも自由に走ったり歩いたりできる、広い場所だからか
この頃はあの、白目をむいていぃぃぃぃって顔を、全然しない。
食べてる最中だってなでなでさせてくれる。



乗り心地の良さそうな、背中。いつか春さんが夜中の庭で、
ぼーっと突っ立っていた梅の背中にひょいっと乗って、
耳元で「あっちまで連れて行って」とささやいたら、梅は
すーっと動いて言われたところまで柵の中を移動したそうだ。
動物ってそういう、気が通じ合う間合いってあると思う。
人間だって動物だから本来あるのだろうけど、文明化して
野性味の消えかかっている現代人は難しいのかもしれない。
それからおじさまのお肉屋さんへまわった。もう夕方で
お客さんがちらほら来ている。おじさまは今日もひどくお疲れに
見えた。あくびをかみ殺している。聞くと、昨日200人分
近い馬刺しが入って、夜の9時過ぎまでかかったという。
音二郎の写真をおじさまに見せようと出てくる直前に思い出し
プリントしたのに忘れてきた。音は少し荒れてました、と
話したら首をかしげていらした。お疲れであまり話もはずまない
まま、今日は小一時間で帰ってきた。
梅の運動場がひどいぬた場と書いたけど実は銀花の柵内も
すごいことになってきた。小屋から出るとこも、雨だれが落ちるのと
傾斜してて体重がかかるのとで蹄がすべて埋まってしまうほど。
ゴムマットを敷いてしのいでいたけど、王さまがその場所だけ
土を入れ替えてくれた。うちの銀花はぬた場は嫌いみたい。
すべるし、あんまりすごい時は出てくるのにしばらく躊躇
しているほど。はやく梅雨があけるといいな。